• 汚れた英雄~オスカー・ピストリウスとランス・アームストロング

    by  • 2013/02/19 • Uncategorized, オリンピック • 0 Comments

    http://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/p-sp-tp0-20130219-1087200.html

    古来からドーピングの誘惑は多くのアスリートにとって避けて通れない問題となっている。
    東西冷戦時代は、旧東側諸国は国を挙げてドーピングを行なっていたとされているし、既に亡くなったフローレンス・ジョイナーの記録などグレーなまま検証不可能になってしまっているものもある。
    センセーショナルだったのは、ソウル五輪の陸上男子100メートル決勝のベン・ジョンソンだろう。9秒79という当時としては驚異的な世界新記録で優勝した直後にドーピングが発覚し、金メダルはカール・ルイスの手に渡ったが、それまでにも世界記録を塗り替えてきたベン・ジョンソンは、検査の網をくぐり抜けていたのだから、ドーピングと検査はイタチごっこという他はない。僕らが知らないだけで検査をすり抜けた記録もいくらもあるのだと思う。
    数日前に両足義足のランナーで「ブレードランナー」の愛称で知られるオスカー・ピストリウスが、恋人を射殺したというショッキングなニュースが飛び込んできたと思ったら、その後の検査で自宅からステロイドが発見されたという。ピストリウスは両足切断者の100メートル、200メートル、400メートルの世界記録保持者だが、このままだと、おそらく、これまでの記録は抹消されることだろう。
    自転車ロードレースのランス・アームストロングがドーピングでツール・ド・フランス7連覇の記録を取り消されたのがつい最近だが、ガンを克服したアームストロングや障碍を持ちながらオリンピックにまで出場したピストリウスのような選手は、普通の選手以上に病気や障碍で苦しむ人、さらには普通の人々にも(陳腐な表現だが)勇気と感動を与えてきたはずで、そうした選手のパフォーマンスがまやかしだったと知った時の人々の落胆も他の選手以上のものになるだろう。
    ピストリウスが恋人を射殺した原因もステロイド剤の副作用による凶暴化が原因ではないかと言われている。
    僕ら凡人は、なんで、そんなものに手を出すのか、と思ってしまうが、昔読んだ記事で、一流どころの陸上選手に必ずオリンピックで勝てるとしたら死んでもいいかという質問をしたところ、半数以上が「はい」と答えたというのを思い出した。一瞬の栄光の方が自分の命よりも大事ならば、多少健康を害するとしても、見つかったところで死にはしないドーピングを持ちかけられて断れる選手がどれだけいるのだろうかとも思う。
    しかし、死んでしまえばその先はないが、ドーピングが発覚した後は死ぬより辛い後ろ指をさされながらの生活が待っているのだ。いや、仮に発覚しなくてもいつ見つかるかに怯えながら生きていかなくてはならない。
    ピストリウスはまだ26歳、アームストロングでさえ41歳に過ぎない。過去の栄光を思い出に生きるには先が長すぎる。
    そう思うと、ちょっぴりかわいそうな気がした。

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